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眼球のなかのレンズ（水晶体）は主として水とタンパク質から構成されており、通常は透明である。なんらかの原因でこの水晶体のタンパク質分子の構成が乱されると透明性が維持できなくなって白濁する。この状態を白内障とよぶ、犬では他の動物より白内障が多く発生する。

犬種としては、コッカー・スパニエル、プードル、ビーグル、アフガン・ハウンド、狆などでの発生が多い。また、犬では、以下に述べるようなあらゆるタイプの白内障がみられる。

原因としては、先天性のものとなんらかの要因により生じる後天性のものがある。後天性白内障には老齢性、糖尿病性、外傷性、内分泌性、中毒性、そのほか遺伝によって6歳齢以前にみられる若齢性のものなどがある。また薬物や放射線による発症例もあります。

白内障は、水晶体の一部または全部が白濁する病気であり、その程度が進めば進むほど白く濁り、視力障害（物にぶつかる、ジャンプできなくなるなど）が発現してくる。臨床的には白内障の程度により①初発、②未熟、③成熟、④過熱に分類する方法が多用される。初発では視力障害はないが、進行するとしだいに視力障害が認められ、緑内障と併発する場合もある。

眼球の眼房を満たしている液体（房水）が外に排出できないなど、異常にふえて眼球内部の圧力（眼圧）が高くなり、視神経を圧迫して障害をおこす。この状態が緑内障で、放置すると失明に及ぶことも多い。

緑内障の発生頻度は、その原因による差異も考慮しなければならないがバセット・ハウンド、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、スプリンガ―・スパニエルなどの犬種でその発生例が多い。本症は両眼性に発症する傾向が強い。

本症はまた原因不明の原発性のものと、原因となる疾患が存在する続発性とにわけられる。続発性レンズ脱臼性、前ブドウ膜炎症、外傷性、また悪性新生物によるものなどがあり、瞳孔や隅角での房水の流れが阻害されて発生する。

本症は、犬では一般に激しい痛みを伴って発症することが多く。視野異常から末期には視力低下、放置すれば視力消失することもある。そのほか、角膜浮腫、上強膜血管の拡張、散瞳傾向、対光反射の減弱や消失などがみられる。